いよいよローンを支払う余裕がなくなった
相談者について
- 年齢
- 36歳
- 家族構成
- 妻・長男・長女
- 住宅ローン残高
- 3,700万円
- 毎月の住宅ローンの返済額
- 15万円
※年間の固定資産税含む
相談時の状況
10年ほどコツコツと住宅ローンを返済してきたA夫婦ですが、コロナの影響によって夫の残業代は無くなり、妻のパート収入も激減しました。学資保険や生命保険の解約をし、家計を切り詰め、住宅ローン返済をまかなっていたのですが、子供が大きくなるにつれ、食費や教育費が増え、貯金を切り崩し、なんとか乗り切っていましたが、2年あまりで底をついてしまいました。
夫の収入が増えることは現実的になく、ほかに選択肢はないと消費者金融で借り入れを行い、返済に充てることに。その場はしのげても返済する余裕はなく、次月の返済日直前に再びお金を借りる、といった悪循環に陥るのにそう時間はかかりませんでした。そしてとうとうローン返済が遅れはじめ、銀行から催告書が届きました。
相談内容
返済に充てる余裕が全くない。どうすれば……
思うようにいかない金策と銀行へ相談にいくも、催告書が届いている段階なので銀行は真面に話を聞いてくれず、アドバイスは「なんとか返済してください」です。Aさんは疲れきった様子でした。寄り添っている奥さんの顔にも、同様に疲労がはりついています。「とにかくもう返済に充てられるお金がない、どうすればよいのか何のアイデアも浮かばない。助けてほしい」というのが夫妻の訴えでした。
佐川が家計などを確認していると、Aさんがふとつぶやきました。「子どもの前で、つい妻とケンカをしてしまうんです。お金が原因で。先日娘が、大学へ行かないと言い出しました。お金を心配しての言葉だと分かります。情けないですよね。でもせめて、子どもたちの学費は出したい。知恵を貸してください。」そう言ってAさんは涙をこぼしました。
佐川の提案
まず、身近な協力者を探してみては
売却も視野に入れながら、佐川はまず2人のまわりにいる人たちに助けを求めてはどうかと伝えました。
催告書が届いている段階で、夫婦の力を合わせても返済が難しいのなら親御さんなどに金銭的支援をしてもらうか、過払い請求が最も有効な手段です。ただ、試算したところ過払い請求をしても借金が残る(事故歴がつく)可能性が高いため、将来の生活(子供の教育資金借入など)を考えたときに、佐川は親族に相談してはと提案したのです。親御さんに相談してみましたか、と聞くと「こんな話、恥ずかしくてできない。それに親も家を買っているので貯金もないはずだ」と気まずそうな答えが返ってきました。
Aさんのご両親がご自宅を売却
そのお金で住宅ローン問題は解決に
催告書が届いてからも返済ができていないAさん。一括返済を求められる通知がいつ届いてもおかしくない状態です。親御さんの支援が難しければ銀行との交渉・売却手続きに移らなければならないため、全てを急ぐ必要がありました。
親御さんに相談することを渋っていたAさんですが、「子どもさんの学費をつくりたいとおっしゃった。その気持ちと親御さんへの気まずさ、どちらが大きいですか?もし親御さんにお願いするのがどうしても難しければ、ローンを残して売る方法、任意売却の方向(事故歴がつく)で考えなければいけません」という佐川の言葉にハッとしたようでした。そして「折り入って相談がある」と、親御さんに電話をしたのです。
相談者のその後
佐川を連れてやって来た息子夫妻に、親御さんは驚いた様子でした。「実は収入が減り、ローン支払いが追いつかなくなっている。もう銀行から催告書が届く段階だ」。Aさんの話が進むにつれ、お父さまの顔色は赤くなったり青くなったりとせわしなく変わりました。Aさんが話し終え、佐川が状況を補足すると、お父様は深いため息をついて佐川に語りかけました。
「佐川さん、子どもたちが巣立った今、私たち夫婦にこの一戸建てはもう広すぎる。この家はいくらくらいで売れるでしょう。この家を売って、そのお金で息子の借金を払いたい。かわいい孫のためにも、あの家は残したほうがいいと思うから」。
思ってもみなかった提案にAさん夫妻は絶句。我に返り、ボロボロと涙を流してありがとう、という言葉をやっと絞り出しました。疎遠状態だった親子関係はそれ以来復活、奥さんが一人で夫の実家に遊びに行くようにもなり、家族の絆はより強いものになったそうです。
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